破産管財人による破産財団の換価と裁判所の許可に関する大阪地裁の運用を取り上げます。
破産管財人による破産財団の換価
破産管財人による管財業務の中心的業務は、破産財団の換価です。
比較的換価業務の少ない事案は、破産手続開始決定後半年以内、相当程度複雑な事案でも、破産手続開始決定後1年以内に手続を終結させる必要があると言われています。そのためにも、早期に破産財団を換価する必要があります。
裁判所の許可が必要な行為
破産法は、管財人が行う以下の行為について、裁判所の許可を必要としています(破産法78条2項)。
裁判所の許可が必要な破産管財人の行為
①不動産に関する物権の任意売却
②登記すべき船舶の任意売却
③鉱業権、漁業権、知的財産権等の任意売却
④商品の一括売却
⑤100万円を超える価額の動産の任意売却
⑥100万円を超える価額の債権、有価証券の譲渡
⑦100万円を超える価額の和解、仲裁合意
⑧100万円を超える価額の権利の放棄
⑨100万円を超える価額の訴えの定期
⑩100万円を超える価額の財団債権、取戻権、別除権の承認、別除権の目的財産の受戻し
⑪100万円を超える価額の双方未履行の双務契約についての履行請求
⑫営業又は事業譲渡
⑬借財
⑭相続放棄の承認等
重要な財産の換価については、その方法・内容・条件などについて、裁判所を事前に相談しながら相手方と交渉します。具体的な条件の決定後、契約書案を作成します。そして、当該契約書案を添付した許可申請書を裁判所に提出します。裁判所から許可を得た後、相手方と契約を締結するという方法が実務上、多く行われています。
大阪地裁で裁判所の許可が不要とされている行為
破産法は、上記に該当する場合でも、裁判所があらかじめ許可を不要とした行為については、裁判所の許可を不要としています(破産法78条3項2号)。
大阪地裁では、以下の行為については、裁判所の許可は、不要とされています。
大阪地裁で裁判所の許可が不要とされている破産管財人の行為
①自動車の任意売却
②取戻権の承認
③財団債権の承認
④有価証券の市場における時価での売却