破産の免責不許可事由の一つである虚偽の債権者名簿の提出を取上げます。
虚偽の債権者名簿の提出
破産の免責許可の申立てに際し、債権者名簿の提出が義務付けられています(破産法248条3項)。
その債権者名簿に、虚偽の記載をすることは、免責手続の適正な遂行を妨げます。そこで、破産法は、虚偽の債権者名簿の提出を免責不許可事由としています(破産法252条1項7号)。
債権者名簿
ここでいう債権者名簿とは、免責許可申立時に提出される債権者名簿のことです(破産法248条3項)。
なお、債務者が破産手続開始申立を行う自己破産の場合、反対の意思表示がない限り、申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなされます(破産法248条4項)。したがって、破産手続開始申立時に提出される債権者名簿(破産法20条2項)は、ここでいう債権者名簿に該当します(破産法248条5項)。
虚偽
債権者名・債権額・発生原因について、事実に反する内容を記載し、又は記載すべき債権者名・債権の内容を記載しないことが虚偽に当たります。
免責不許可という制裁を伴うことから、債権者名簿の虚偽の記載や不記載は、破産者が破産手続の遂行を妨害し、又は債権者を害する目的で意図的に、記載しなかった場合に限られると解されています。
なお、破産者が、過失によって、債権者名簿に債権者名や債権の内容を記載しなかった場合、その債権は非免責債権となります(破産法253条1項6号)。この場合、破産者の不利益は、その範囲にとどまり、免責不許可事由には該当しないとされています。