破産手続終了後の破産者の財産に関する訴訟と破産管財人


破産手続終結後の破産者の財産に関する訴訟について、破産管財人が当事者適格を有するか?を判断した最高裁判決を紹介します。

最高裁平成5年6月25日判決

 破産手続終結後の破産者の財産に関する訴訟について、破産管財人が被告適格を有するか?が問題になった事案です。

 ※法人の破産と破産手続終了後の問題も参照

事案の概要

 被上告人の請求は、第一審判決添付物件目録記載の土地及び建物の所有権に基づき、破産会社を権利者とする根抵当権設定登記等の抹消登記手続を求めるものである。

 破産会社は、昭和40年12月23日、本件登記を経由したが、昭和41年10月13日、大阪地方裁判所で破産宣告を受けた。破産会社の破産手続は、本件訴訟が提起された平成2年10月30日以前の昭和50年12月25日、既に終結していた。

最高裁の判断

 最高裁は、原則として、破産管財人に当事者適格はないと判断しました。

 破産手続が終結した後における破産者の財産に関する訴訟については、当該財産が破産財団を構成し得るものであったとしても、破産管財人において、破産手続の過程で破産終結後に当該財産をもって追加配当の対象とすることを予定し、又は予定すべき特段の事情がない限り、破産管財人に当事者適格はないと解するのが相当である。

 破産手続が終結した場合には、原則として破産者の財産に対する破産管財人の管理処分権限は消滅し、以後、破産者が管理処分権限を回復するところ、例えば、破産終結後、破産債権確定訴訟等で破産債権者が敗訴したため、当該債権者のために供託していた配当額を他の債権者に配当する必要を生じた場合、又は破産管財人が任務をけ怠したため、本来、破産手続の過程で行うべき配当を行うことができなかった場合など、破産管財人において、当該財産をもって追加配当の対象とすることを予定し、又は予定すべき特段の事情があるときには、破産管財人の任務はいまだ終了していないので、当該財産に対する管理処分権限も消滅しないというべきであるが、この特段の事情がない限り、破産管財人の任務は終了し、したがって、破産者の財産に対する破産管財人の管理処分権限も消滅すると解すべきであるからである。


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