破産手続において、破産管財人が行う相殺を取上げます。
破産管財人による相殺
破産管財人が、破産財団に属する債権を自働債権、破産債権を受働債権として相殺を行うのは、特定の破産債権者に弁済するのと実質的に同様の効果をもたらします。つまり、破産債権者の平等を害することになります。
しかし、破産財団に属する債権の実質的価値が破産債権の価値より低く、相殺が破産財団の維持・増殖に資するような場合は、相殺が破産債権者の一般の利益に適合することがあります。
そこで、破産法は、裁判官の許可を得て、破産管財人が破産財団に属する債権を自働債権、破産債権を受働債権とする相殺を行うことを認めています(破産法102条)。
破産債権者の一般の利益に適合する
破産管財人による相殺が認められる要件は、破産債権者の一般の利益に適合する場合です。
一般の利益とは、破産債権者全体の利益を意味します。相殺によって、破産財団の維持・増殖ができる場合に、相殺が認められることは争いがありません。
破産管財業務の早期終了のための相殺
換価業務である破産管財業務の早期終了のために、破産管財人が相殺をすることが認められるか?という問題があります。
管財業務の早期終了は、破産管財人による催告による失権によって対応すべきとして、破産管財人からの相殺は認められないというのが、通説とされています。しかし、通説に対する異論もあるところです。
破産管財人による催告は、以下の記事参照