個人再生手続の弁済期間を3年を超える期間にできますか?
個人再生の弁済期間は3年
個人再生の再生認可計画は、再生計画認可決定の確定から3年間・3か月に1回以上の割合で分割弁済することを定めなければなりません(民事再生法229条2項)。
したがって、個人再生手続きは、減額された債務を3年間で支払うという債務整理の手続きということができます。
しかし、債務者の中には、3年では弁済することができないというケースもあります。その場合、個人再生を利用することはできないのでしょうか?
特別の事情があれば弁済期間は5年まで延長できる
個人再生手続きでは、特別の事情がある場合は、弁済期間を5年を超えない期間で定めることができるとされています(民事再生法229条2項2号括弧書)。
したがって、3年で弁済できなくても、特別の情が認められれば、5年までの弁済期間を定めることができるのです。
特別の事情とは?
個人再生手続きで、5年までの弁済期間が認められる特別の事情とはどのような事情なのでしょうか?
たとえば、安定した将来の収入は見込まれるが、収入から生活費や事業資金などを控除した金額が、弁済期間を3年とした最低弁済額を支払えないという場合は、特別の事情が認められます。
したがって、収入と弁済額を比較して、3年間では再生計画案の履行はできないが、4年又は5年であれば再生計画案の履行ができるという場合は、特別の事情があると認められます。
もっとも、娯楽費や交際費などの支出が大きいために3年では弁済できないという場合にまで、特別の事情があるとは認められないでしょう。また、ボーナスを均せば、3年で弁済できる場合も特別の事情は認められないでしょう。
個人再生は再生計画を3年または4年若しくは5年で弁済していく手続き
3年で弁済できない特別の事情は、かなり広く認められています。3年では弁済することできないが、4年・5年だと弁済できるということを裁判所に説明すれば、弁済期間を4年・5年とする再生計画案が認められなかった経験はありません。
したがって、個人再生は、債務を大幅に減縮し、減縮された債務を3年または4年若しくは5年で弁済していくという手続きということができます。
注意が必要なのは、個人再生は、弁済期間を3年にするのか、4年・5年にするのかを債務者が自由に選択できる制度ではないということです。たとえば、3年で弁済できない場合、特別の事情があれば、5年までの弁済期間を定めることができるのであって、3年で弁済できないから、直ちに5年の弁済期間になるわけではありません。3年で弁済できないが、4年であれば弁済できる場合は、弁済期間を4年間とする再生計画にする必要があります。