破産手続開始決定後に新たな債権者が判明した場合
破産手続開始決定後に債権者の存在が判明した場合、どのように扱われるのでしょうか?
債権者一覧表の提出
裁判所に破産申立てをする際に、債権者一覧表を裁判所に提出しなければなりません(破産法20条2項)。裁判所は、破産手続開始決定後に債権者一覧表に記載されている債権者に対して、破産手続開始決定があったことなどを通知します(破産法32条3項1号)。
破産者が個人の場合、債務整理で破産を選択するのは免責許可決定を得るためです。破産法も破産申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなしています(248条4項)。破産申立時に提出した債権者一覧表は、免責許可申立時に提出が義務付けられている債権者名簿とみなされます(284条5項)。
債権者は裁判所からの通知によって、破産手続に参加する機会を保障されます。したがって、その前提となる債権者一覧表の記載は正確でなければならないことは言うまでもありません。
破産手続開始後に新たな債権者が見つかった場合
中には、破産手続開始決定後に新たな債権者が見つかったり、失念していた債権者がいたことが判明することがあります。破産法は、虚偽の債権者名簿を提出したことを免責不許可事由としています(252条1項7号、他の免責不許可事由については、破産の免責不許可事由参照)。
また、破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった債権は、非免責債権になります(253条1項6号)。破産者の過失により、債権者名簿に記載しなかった場合も非免責債権になります(破産の非免責債権参照)。
したがって、免責されない又は免責されも免責の効果が及ばないといった事態を避けるためにも、破産手続開始決定後に新たな債権者が見つかった場合は、直ちに裁判所へ報告する必要があります。
実務上、債権者一覧表へ債権者を追加することは、免責に関する債権者の意見申述期間の終期まで可能とされています。