大阪地裁における免責観察型の破産管財事件を取上げます。
免責観察型の管財事件
大阪地裁では、免責不許可事由に該当する行為の内容や程度が重大で、そのままでは免責許可決定をすることができない場合に、免責観察型の管財事件とする運用があります。
免責不許可事由については、以下の「破産の免責不許可事由」を参照
免責観察型の管財事件に移行すると、破産管財人が一定期間、破産者の家計管理の状態について、指導・監督を行います。その間に、経済的再生に向けた破産者の意識・管理能力を評価します。その結果と裁量免責の当否に関する意見を以って、裁判所が免責を許可するかどうかを判断します。
免責観察型の管財事件の対象
同時廃止として破産申立てがなされた事件のうち、免責不許可事由(破産法252条1項)が存在し、裁量免責(破産法252条2項)をするためには、反省文や家計簿の作成などの措置では不十分と判断された事件が対象になります。
まれに、申立ての段階で、免責観察型の管財事件を希望した上で、管財事件として申立てを行うこともあるようです。
免責観察型の管財事件の予納金
免責観察型の管財事件に移行すると、破産管財人に引継予納金等を納める必要があります。大阪地裁の場合は、最低20万5,000円が引継予納金の額です。
免責観察型の管財事件は、そもそも同時廃止として破産申立てを行っているので、引継予納金をすぐに準備できないことが少なくありません。そのような場合は、引継予納金を分割して納めることが認められています。
分割で引継予納金を納める場合は、5万5,000円を準備できた段階で、破産手続開始決定がなされています。残りの引継予納金は、管財人の指導のもと、3か月から6か月で納めていくことになります。
引継予納金を超える積立て
引継予納金を超える金額の積立てを管財人から求められることは、原則としてありません。しかし、免責不許可事由の内容、程度、破産者の現在の収入・支出の状況等から裁量免責を認めるために、さらに積立てを行い、債権者に按分弁済をすべきと判断された場合は、追加の積立てを指示されることがあります。
免責観察型の管財事件で破産者が行う具体的な内容
破産者は、破産管財人の指導のもと、家計収支表と家計簿を作成し、月1回程度、破産管財人と面談をし生活状況などの報告を行います。破産管財人は、面談の際に家計収支表や家計簿を確認し、必要な指導を行います。ちなみに、この場合の家計簿は、月単位の収支ではなく、1日単位、つまり、毎日の収支を記入するよう指示されることが多いです。
引継予納金を分割で納める場合は、破産者は、毎月、決められた金額を準備し、納める必要があります。