個人再生手続で債務の減額の対象にならない非減免債権を取上げます。
非減免債権
破産手続きには、免責許可決定によって免責されない非免責債権が存在します。
個人再生手続きにも、非免責債権に対応する非減免債権が存在します。
非減免債権は、保護の必要性の高い債権について、再生計画において当該再生債権者の同意がある場合を除き、減免の対象とならない債権です(民事再生法229条3項)。
非減免債権の種類
非減免債権には、以下のものがあります。
個人再生手続きにおける養育費の取扱い
非減免債権の一つである養育費は個人再生手続きで、どのように扱われるのでしょうか?取扱いは、再生手続開始決定時に、①既に発生している養育費か、②将来の養育費かで区別されます。
再生手続開始決定前に発生していて未払いになっている養育費
債権者の同意がない限り、再生計画において債務の減免をすることができません。したがって、再生計画が認可されても債務は減免されません。また、ハードシップ免責(民事再生法235条)が認められた場合も免責の対象になりません。
ハードシップ免責(個人再生の手続き)
個人再生手続は、再生計画にしたがって返済していく手続です。返済中に返済が困難になった場合、ハードシップ免責という制度があります。ハードシップ免責の概要を解説します。
非減免債権のうち債権調査手続で確定した債権は、再生計画で定めた弁済期間中は、再生計画で定めた一般的基準に従って弁済すればいいとされています。弁済期間満了後に残額を支払うことになります。
つまり、再生計画においては、非減免債権の有無にかかわらず、権利変更の一般的基準を決めることになります。
債権調査手続で確定しなかった債権は劣後化し、再生計画で定めた弁済期間満了時に全額弁済することになります。そのための支払原資を確保しておく必要があります。
再生手続開始決定後の将来の養育費
将来の養育費は、日々発生する債権なので、共益債権(民事再生法119条)と解されています。共益債権は、再生手続に関係なく、随時弁済する必要があります(民事再生法121条1項)。
このように、将来の養育費の支払は、再生計画の履行に影響するので、養育費の支払を前提として、履行可能性を検討する必要があります。