個人再生手続における債権確定手続は、どのような手続ですか?
個人再生手続きには債権調査規定の適用はない
通常再生とも呼ばれる通常の民事再生手続きでは、民事再生法の債権調査規定に基づいて債権額の確定の手続きを行います(民事再生法99条以下)。
個人再生手続きは、個人の債務者が利用しやすいように、簡易・迅速な手続きとして設けられました。そのため、通常再生の債権調査規定は、個人再生手続には適用されません(民事再生法238条)。
債権者一覧表の提出と債権届出
個人再生手続きの申立てに際して、債権者一覧表の提出が義務付けられています(民事再生法221条3項)。個人再生手続きでは、債権者一覧表に記載された再生債権者は、債権届出をしなくても、債権届出期間の初日に債権者一覧表記載と同じ内容で債権届出をしたとみなされます(民事再生法225条)。
したがって、再生債権者は、債権者一覧表の記載に疑義がなければ、債権届出をする必要はありません。
実務上は、多くの貸金業者が、再生手続開始決定までの遅延損害金を含めて債権届出をすることが多いです。
異議の申述
再生債務者と再生債権者は、届出のあった再生債権の額や担保不足見込額に異議がある場合、一般異議申述期間内に、裁判所に異議を述べることができます(民事再生法226条1項本文)。
再生債務者は、債権者一覧表を提出しています。したがって、債権者一覧表に記載された再生債権等については、異議留保している場合でなければ、異議を述べることはできません(民事再生法226条1項但書)。
異議申述期間内に異議の申述てがなかった再生債権は、再生手続においては、債権届出どおりの債権があると確定します(民事再生法230条8項)。
債権の評価
異議申述期間内に異議申立てを行った再生債務者又は再生債権者は、裁判所に対して、再生債権の評価の申立てをすることができます(民事再生法227条1項本文)。
債権の評価の申立てがなされた場合、裁判所は、個人再生委員の調査・意見聴取を経て、再生債権の存否・金額、担保不足見込額を決定します(民事再生法227条7項)。再生債権の評価の裁判に対して、不服申立てをすることはできません。
なお、再生債権が執行力のある債務名義又は終局判決のあるものである場合は、異議を述べた者が、評価の申立てをする必要があります(民事再生法227条1項但書)。
異議の申述があったが、評価の申立てがなされないことがあります。その場合、通常の再生債権は、異議が述べられている部分は再生計画における弁済期間内に弁済を受けることはできません(民事再生法232条3項)。再生債権が執行力のある債務名義又は終局判決のある物である場合は、異議が述べられなかったものとみなされます(民事再生法227条2項)。