破産の配当手続の内、最後配当の概略を説明します。
最後配当とは?
最後配当は、一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後、破産財団に属する財産の換価終了した場合に行う配当です(破産法195条1項)。
破産法上は、最後配当が、原則的な配当手続きと位置付けられています。
最後配当の手続き
破産管財人は、破産財団の換価が終了すると、裁判所書記官に最後配当を行う許可を求めます(破産法195条2項)。
配当許可の要件は、以下のとおりです。
最後配当の配当許可の要件
①一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後であること
②破産財団に属する全ての財産の換価が終了していること
③破産手続の費用が支弁できずに廃止せざるを得ない状態にないこと
最後配当の許可を得たら、管財人は、遅滞なく、配当表を作成して裁判所に提出します(破産法196条)。配当表の提出後、管財人は、遅滞なく、最後配当に参加できる債権総額と最後配当できる金額を届出債権者に対して通知します(破産法197条1項)。
通知が到達したとみなされる旨の届出のあった日から2週間が最後配当に関する除斥期間です(破産法198条)。除斥期間内であれば、配当表の更正をすることが可能です(破産法199条)。
配当表に対する異議期間経過後または異議申立ての手続き終了後、管財人は、遅滞なく、最後配当に参加できる破産債権者に対する配当額を定めて、破産債権者に通知し、配当を行います(破産法201条1項)。
異議申立てと即時抗告
届出債権者は、配当表の記載に不服がある場合は、最後配当の除斥期間経過後1週間以内に裁判所に対して異議申立てができます(破産法200条1項)。異議申立ての裁判に対しては、即時抗告することができます(破産法200条3項)。
未確定の破産債権の取扱い
配当の通知時に未確定の破産債権に対する配当額と破産債権者が受取らない配当額に関しては供託します(破産法202条)。配当額の通知時に破産管財人に知られていない財団債権者は、最後配当できる金額から弁済を受けれません(破産法203条)。
最後配当と簡易配当の選択
最後配当は、配当の原則型であるため、簡易配当に比べて手続保障を図っています。
簡易配当については、以下の「簡易配当」を参照
簡易配当に対して債権者が異議を述べると、最後配当に移行します(破産法206条)。そのため、配当原資1,000万円以上の場合は、手続きの安定性の観点から最後配当を原則としている裁判所があります。