経営者保証ガイドラインによって、保証人の手元に残すことができる残存資産であるインセンティブ資産について取り上げます。
インセンティブ資産
経営者保証ガイドラインの最大のメリットがインセンティブ資産を残せる可能性があることです。
インセンティブ資産は、回収見込額の増加額を上限として、破産手続における自由財産の範囲を超えて残存することが認められる財産のことです。
インセンティブ資産として残せる可能性のある財産は、以下の3つです。
経済合理性
インセンティブ資産を残存資産とすることができるのは、対象債権者にとって、一定の経済的合理性がある場合に限られています。
経済的合理性の判断は、①経営者保証ガイドラインにおける弁済計画に基づく回収見込額と②破産手続における配当見込額を比較して行います。つまり、①が②を上回っていれば、経済的合理性が認められます。
経済的合理性の判断は、主債務と保証債務を一体として判断することになっています。保証債務だけでは、①が②を下回っている場合でも、主債務と保証債務を一体としてみれば、①が②を上回っていれば経済的合理性は認められます。
ただし、主債務の整理手続が終了した後に保証債務の整理を開始した場合は、両者を一体として判断することはできません。したがって、この場合は、インセンティブ資産を残すことはできません。