経営者保証ガイドラインのインセンティブ資産として残せる可能性がある資産に「一定期間の生計費」があります。
経営者保証ガイドラインとインセンティブ資産
経営者保証ガイドラインを用いた債務整理では、インセンティブ資産を手元に残せる可能性があります。
インセンティブ資産は、回収見込額の増加額を上限として、破産手続における自由財産の範囲を超えて残存することが認められる財産のことです。
インセンティブ資産として残せる可能性のある財産の一つが、一定期間の生計費に相当する額です。
一定期間の生計費
一定期間とは、雇用保険の給付期間を参考にしています。
生計費は、1か月の生計費33万円として、保証人の年齢によって、給付期間に応じて算出します。
上記の計算式に当てはめた年齢別の日数と生計費の金額は、以下のとおりです。
年齢 | 日数 | 金額 |
30歳未満 | 90日~180日 | 99万円~198万円 |
30歳~35歳未満 | 90日~240日 | 99万円~264万円 |
35歳~45歳未満 | 90日~270日 | 99万円~297万円 |
45歳~60歳未満 | 90日~330日 | 99万円~363万円 |
60歳~65歳未満 | 90日~240日 | 99万円~264万円 |
上記のように、給付期間に幅がありますが、実務上は最長期間を一定期間とすることが多いと言われています。もっとも、当然に最長期間が一定期間と認められるわけではなく、最長期間でなければならない必要性と相当性を対象債権者に理解してもらう必要があります。
インセンティブ資産は回収見込額の増加額の範囲で認められる
一定期間の生計費は、インセンティブ資産の一つです。インセンティブ資産は、保証人が債務の整理を早期に決断したことにより、回収見込額が増加した場合に、回収見込額の増加額の範囲で一定の財産の保持が認められます。
したがって、回収見込額の増加額を超過する部分は、残存資産とするはできません。