経営者保証ガイドラインの概要を紹介します。
経営者保証ガイドライン
通常、中小企業の経営者の多くは、会社の債務について連帯保証をしています。会社について破産などの法的整理を行っても、経営者の保証債務には、影響しません。そのことが、早期の事業再生を阻害する要因になっていました。
そこで、早期の事業再生を阻害することのないよう、平成25年に、経営者保証に関するガイドラインが策定されました。経営者保証ガイドライン自体に法的拘束力はありません。しかし、金融機関は、ガイドラインを尊重し遵守することが期待されています。
経営者保証ガイドラインのメリット
主として、破産手続と比較する形で、経営者保証ガイドラインのメリットを挙げておきます。
①信用情報への登録
破産手申立てを行った場合、信用情報に登録されます。一方、経営者保証ガイドラインは、信用情報に登録されないことになっています。
②対象債権
破産の場合、個人的な借入等も含めてすべての債権を対象にしなければなりません。一方、経営者保証ガイドラインでは、個人的な借入等は原則、対象債権から除外されます。
③財産の維持
破産の場合、自由財産拡張によって現金・預貯金等の財産は99万円まで保持することができます。経営者保証ガイドラインの場合、現金・預貯金等99万円以外にインセンティブ資産を残せる可能性があります。
④自宅不動産の処理
③の財産の保持に関連しますが、破産の場合,自宅不動産は破産管財人が売却するので、自宅不動産を失うことになります。経営者保証ガイドラインの場合は、インセンティブ資産とするなどして、自宅不動産を処分せずに残せる可能性があります。
経営者保証ガイドラインの手続き
特定調停を利用する経営者保証ガイドラインの手続きの概略は、以下のとおりです。経営者保証ガイドラインは、私的整理の一種です。したがって、対象債権者全員の同意が必要になります。そのため、債権者との事前協議が非常に重要になります。
支援専門家への相談
弁護士への相談
債権者への返済猶予(一時停止)等の要請
財産の調査
残存資産、非残存資産の範囲の協議
弁済計画案(調停条項案)の策定
保証人による表明保証
債権者の同意
特定調停の申立て
調停期日
調停成立