経営者保証ガイドラインの手続の内、一時停止等の要請を取り上げます。
一時停止等の要請
経営者保証ガイドラインを利用して債務整理を行うことが決まった後、最初に行うのは、金融機関に対する一時停止等の要請です。
金融機関に対して、保証債務の弁済の一時停止又は返済猶予を要請を行うことが、経営者保証ガイドラインによる債務整理のスタートです。
一時停止等の要請に対する債権者の対応
一時停止等の要請を受けた債権者は、以下の要件を全て充足する場合は、要請に対して、誠実かつ柔軟に対応することが求められています。
債権者が対応することが求められる一時停止等の要件
①主債務者、保証人、支援専門家が連名した書面によるもの
②全ての対象債権者に対して、同時に行われていること
③主債務者・保証人が、手続申立前から債務の弁済等について誠実に対応し、対象債権者との間で良好な取引関係が構築されてきたと、対象債権者から判断され得ること
一時停止等の要請の方法
一時停止等の要請は、①主債務者・②保証人・③支援専門家の三者が、連名した書面で行います。なお、全ての対象債権者から同意がある場合又は保証債務のみを整理する場合で、②保証人と③支援専門家が連名した書面がある場合は、3者の連名である必要はありません。
支援専門家とは、弁護士・公認会計士や税理士等の専門家で、全ての対象債権者が適格性を認めるものをいいます。保証人の代理人弁護士は、支援専門家に含まれます。
一時停止等の要請は、全ての対象債権者に対して、同時に行う必要があります。
一時停止等の要請の効果
一時停止等の要請を対象債権者が応諾すると、経営者保証ガイドラインの利用が開始されます。以下の効果が発生します。
①一時停止・返済猶予
対象債権者は、弁済の受領、相殺権の行使等の債務の消滅行為、追加担保供与の徴求、担保権の実行、強制執行等ができなくなります。
②財産評定の基準時
一時停止等は、弁済計画策定に際して、財産評定の基準時になります。つまり、一時停止等を行った時=財産評定の基準時以降の収入は、原則、弁済原資には含まれません。
③誠実性要件、免責不許可事由の厳格適用
一時停止等の後、適時適切な開示等の要件が厳格に適用されます。また、一時停止等の後、免責不許可事由に該当する行為があった場合、厳格に対応することになります。