法律事務所エソラで扱った自己破産の解決事例の一例を紹介します。
事案の概要
ご依頼者は、60代の契約社員の方です。
フリーランスや契約社員として働いていましたが、仕事がない期間には収入が途絶えることがありました。その間の生活費を借入れによって補う生活を続けていたため、次第に借金が増加し、債務総額は約460万円になりました。
収入が不安定なこともあり、借金の返済を続けることが困難になったため、自己破産を申し立てることになりました。
問題点
今回の事例では、免責不許可事由に該当する可能性のある支出が2つありました。
① 約20年前の競馬による約400万円の支出
ご依頼者は、20年以上前に競馬に約400万円を費やし、その後、任意整理を行った経験がありました。
破産法252条1項4号は、浪費や賭博などによって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりした場合を免責不許可事由としています。
今回の破産申立ての約20年前の出来事とはいえ、競馬に多額の金銭を費やした経験があるため、免責不許可事由に該当するかが問題となる可能性がありました。
② ゲームやアプリへの約40万円の課金
ご依頼者は、破産申立ての約4年10か月前から約10か月前までの間に、ゲームやアプリに合計約40万円を課金していました。
ゲームへの課金についても、その金額や支出の状況によっては、浪費として免責不許可事由に該当する可能性があります。
大阪地裁の破産申立ての書式にも、免責不許可事由の浪費として、金額に関わらず、ゲームやアプリへの課金を記載する欄があります。
もっとも、ゲームやアプリに課金したからといって、直ちに免責不許可事由に該当するわけではありません。課金の金額や時期、収入・財産の状況、借金が増加した原因などを踏まえて検討する必要があります。
弁護士の対応
自己破産の申立てに際して、過去の競馬やゲーム課金の事情を申告するとともに、免責不許可事由に該当しないことなどを主張しました。
① 過去の競馬と今回の借入れの原因を区別して説明
約400万円を競馬に費やしたのは約20年前のことであり、その後、任意整理を行っていました。
一方、今回、自己破産に至った主な原因は、フリーランスや契約社員として働く中で、収入が途絶えた期間の生活費を借入れによって補っていたことでした。
そこで、過去の競馬による支出と今回の破産に至った事情を区別し、約20年前の競馬による支出は今回の免責不許可事由には該当しないと主張しました。
② ゲーム課金の金額・時期を踏まえて免責を求めた
ゲームやアプリへの課金については、合計約40万円という金額や、課金を行っていた時期などを踏まえて、免責不許可事由に該当するような浪費ではないと主張しました。
また、仮に免責不許可事由に該当するとしても、課金の時期や金額などから悪質性は高くなく、裁量免責が相当であると主張しました。
③ 裁判所の指示を見越して反省文・生活再建策を作成
破産申立て後、裁判所から、競馬やゲーム課金について個別に追加の説明を求められることはありませんでした。
ただし、裁判所からは反省文と生活再建策の作成を求められ、反省文には過去の競馬やゲーム課金についても記載するよう指示がありました。
裁判所から反省文・生活再建の作成を求められることは想定されていたので、破産申立前からご依頼者には、作成の準備をしてもらっていました。
解決結果
今回の自己破産では、破産管財人が選任される管財事件にはならず、同時廃止となりました。その後、免責審尋期日が指定されることもなく、裁判所から免責許可決定を得ることができました。
過去に競馬で多額の金銭を費やした経験があり、ゲームやアプリへの課金もありましたが、同時廃止によって破産手続が進められ、免責が認められました。
弁護士からのコメント
今回の事例は、過去に競馬で約400万円を費やし、任意整理をした経験があることに加え、ゲームやアプリへの課金もあった点に特徴があります。
自己破産では、ギャンブルや浪費による借金があると、免責が認められないのではないかと不安に思う方も少なくありません。
しかし、過去にギャンブルや浪費をしたことがあるからといって、必ず免責が認められなくなるわけではありません。
今回の事例では、約20年前の競馬による支出と、収入がない期間の生活費を借入れによって補っていたという今回の破産に至った事情を区別して説明しました。
また、ゲーム課金についても、その金額や時期を踏まえ、免責不許可事由には該当しないこと、仮に該当しても裁量免責が相当であることを主張しました。
裁判所からは、過去の競馬やゲーム課金にも触れた反省文の作成を求められましたが、最終的に同時廃止となり、免責許可決定を得ることができました。
自己破産では、借入れの原因や過去の支出について、正確に説明することが大切です。ギャンブルや浪費の経験があっても、その内容や時期、借金との関連性などを整理することで、よほど悪質でなければ、最終的には免責が認められる可能性が高いです。
過去のギャンブルや浪費を理由に、自己破産を諦める必要はありません。

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